実家で断捨離と言う名の終活をおこなっていたときに、ソニー製のカセットテーププレーヤーを見つけました。
電池を入れると液晶ディスプレイは点くものの、テープを入れて再生ボタンを押しても音が出ず、よく見るとテープが回っていません。
動かないなら処分してしまおうかと思いましたが、一緒に出てきた大量のカセットテープを聴いてみたい欲求にかられたので、直せないか分解してみることにしました。
TCS-100 のカバーを外す
まず、本体の側面にあるネジを取り外していきます。ネジは全部で5本。



これで背面のカバーが取り外せました。

テープが再生できない原因
動力を伝えるゴムベルトがゆるゆるになっていたのが原因でした。

この状態で電池を入れ、再生ボタンを押してみるとゴムベルトは滑って空回り。そらテープは回りません。
ゴム製のパーツは経年劣化が起こりやすいものですが、この手のポータブルプレーヤーで再生しない故障はゴムベルトがゆるんだり加水分解で切れてしまってる場合が多いみたいです。
TCS-100 の発売が2000年だったことを考えれば、さもありなんといったところでしょう。
ゴムベルトを交換する
早速ゆるゆるのゴムベルトを交換したいところですが、一部がカバーの下に隠れて見えません。この小さいカバーをなんとかします。

上にある2本のフラットケーブルを取り外します。差し込まれているソケットの両脇のツメを抜く方向にずらすと、ロックが解除されてスルッと抜けました。

細い方のフラットケーブルの下にある、カバーを固定する支柱の部分に丸いプラスチックの留め具のようなものが付いているのですが、これがけっこう固く、ピンセットやヘラなどで強引に削り取るように取り外しました。

接着剤が付いていたのか、再度とり付けてもすぐ取れてしまうので、付けることはあきらめました。
フラットケーブルを2本とも抜いてカバー部分を露出させます。

このカバーは端に付いてるケーブルが半田で基盤とつながっているため、完全には取り外せないので、少し持ち上げて中身をのぞくスタイルでゴムベルトを交換します。

交換するゴムベルトは TECHSPACE というメーカーの 内径 65 mm x 幅 0.5 mm のサイズをチョイス。

実は、はじめは 幅 0.7 mm のゴムベルトを購入して取り付けてみたんですが、幅が太いと巻き戻しなど高速で回転するときにゴムベルトがどこかに接触するようで、止まったり動いたりと動作が安定しないので、幅 0.5 mm を買い直したという経緯があります。ポータブルプレイヤーの小さい空間にパーツを収めるには 0.2 mmも死活問題ということが身に沁みました。

新調したゴムベルトは、以下の赤線に沿って通せば交換は完了です。

早送りができない……
背面カバーを付ける前にいざ動作チェック。無事カセットテープは再生できるようになり、巻き戻しもしっかりできます。やった! と思ったのもつかの間、 早送りボタンを押すと「ガガッ」と止まって動きません。何回かこの「ガッガッ」となる早送りをくり返しているとテープがたるんでしまいました……。

どういうことなの?? と同じソニー製で TCS-100 に似た内部構造のプレーヤーの例をいくつか調べましたが、ゴムベルトを交換するだけでは直らないことがあり、ゴムベルトの回転に連動する内部のギアの嚙み合わせが外れて、テープのたるみや巻き込みが起こることがあるそうです。
なので、動作チェックはからまっても問題ないテープを用意しましょう。ちなみにこのテープは英会話の録音テープでした。意外と勉強熱心だったんだな当時の俺。
TCS-100 では基盤の裏側にギアが隠れていて、基盤は半田で固定されているらしく、ネジを外すだけではびくともしません。「これはちょっと大ごとになってきたな……」と一気にダルさが勝ってきたので、ひとまず今回の修理はここまでとしました。テープが聴けて、巻き戻しができればプレーヤーとして十分使えます。
カセットテープが楽しくなってきた
こうして、断捨離と言う名の終活で発見された大量のカセットテープを聴けるようになったわけですが、じぶんで直したプレーヤーで聴くカセットテープの音楽はとても味わい深く、懐かしさも手伝って背骨に染みわたるような滋味(?)があります。
世代としてカセットテープは普通に使っていたはずなんですが、CDやストリーミングという音楽経験を通過したあとに、また無骨なアナログデバイスをいじりながら聴くローファイな音楽に戻ることで、聴く面白さを再発見した気分です。
なんとなく選んだ一本のカセットテープからユーロビートが流れ出したときは「これがエモいってことなんかな」とひとりごちました。




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