忘れられたかった写真家『永遠のソール・ライター展』にいってきた 2020

駅のホームで見かけた淡い写真のポスターにひかれて、真冬の曇り空のした午前中から渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて1月9日から開催されている『永遠のソール・ライター展』に行ってきました。

午前中の渋谷の空模様
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写真家ソール・ライターとは

12歳のとき母親から与えられたカメラをきっかけに写真を撮り始め、一時期は画家を目指しますが、生計を立てるためファッション雑誌のフォトグラファーになったのがきっかけだそうです。

壁に貼られた『永遠のソール・ライター展』のポスター2枚

今回の展示は、商業写真から離れたあとに撮影されたニューヨークの街のスナップ写真がメインで、ファションフォトグラファーという経歴を持ちながら、人物を正面から撮影したものがほとんどないのが意外でした。

雨で曇るガラスの向こうの景色など、独特の淡い色合いと大胆な構図は非現実的に見えて、日常のありふれた情景もどこか非現実的な景色に見えてきます。この色彩感覚は画家として活動していたことが影響しているのかもしれません。

スタジオでポーズをとったモデルを撮影するのとは違い、人がバラバラに行き交う街中で、被写体を見つけてここぞとばかりにシャッターを押す瞬発力と洞察力のすごさが伝わってきました。

購入した図録『永遠のソール・ライター』

もちろん図録も購入。

2017年にも同じくBunkamura ザ・ミュージアムで回顧展が開かれていて、当時日本ではほぼ無名だったにも関わらず8万人が来場したそうです。

永遠のソール・ライター

ソール・ライターの近所に偶然住んでいたという大竹昭子さんの巻末にある解説も必読です。

ドキュメンタリー映画も鑑賞

休日に早起きをして午前中からおもむいた理由は、ドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』を10時50分の回に観るため。

映画『写真家ソール・ライター急がない人生で見つけた13のこと』の上映時間

一日2回しか上映されないので、これを逃すと一気に夕方になるので外せません。

つり上がった眉間が強面に映り、偏屈そうにみえますが、笑顔がとてもチャーミング。落ち着いた喋り方はまさに好々爺といったたたずまいです。街にくり出して撮影するときも、カメラもって散歩しているおじいちゃんにしか見えませんでした。

下記の映画公式サイトは消失してしまったようです。ざんねん。

この映画の日本語字幕を担当したのは翻訳家の柴田元幸さん。公式サイトには映画についてのコメントや、「柴田さんとのQ&A」では字幕翻訳に関わった経緯とソール・ライターの好きな言葉などが掲載されています。

Q4. (一番好きな場面を敢えて選んでくださいとお願いしたら) どのシーン、または言葉ですか? そして、その理由は?

「忘れられたいと思ってたのに 重要でなくあろうと願った それが… まあ仕方ない」
――と、彼が言うところ。偽の謙遜でなく、本気でそう言っていると感じる。
そんなことができる人が、ほかにどれだけいるだろう?

映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』公式サイト

写真展をみた後に、本人が出演するドキュメンタリー映画まで観れたのは、その世界観にどっぷりとハマれる贅沢なひとときでした。

写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと

日本語字幕:柴田元幸

今後の開催にも期待

美術展の会場はどこも静かですが、ソール・ライターの写真に囲まれた空間はさらに「静謐」とも呼べそうな静けさを醸し出していてとても落ち着きます。機会があったらまた行きたいですね。

商業写真を離れてから、個人で撮影した写真は公に発表されてこなかったため、彼のアトリエにはまだ未発表の写真が沢山埋もれているらしく、今度開催されることがあれば新しい作品に出会える可能性もありますね。

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