『和階堂真の事件簿』とは、スマホアプリとしてリリースされたアドベンチャーゲームで、シリーズ3作が現在 Android と iOS で配信されています。
スマホのゲームはOSのバージョンアップに取り残され遊べなくなることが切なくて(?)あまり手を出さないのですが、これに関しては大好きな推理アドベンチャーと精細に描かれたドット絵が盆と正月のごとく組み合わさり、自分の性癖に バチコンッ とハマったので我慢できませんでした。
しかも無料。やらない手はない!
『和階堂真の事件簿』のゲームシステム
プレイヤーは和階堂(わかいどう)警部として事件現場におもむき、関係者への聞き込みや遺留品から情報を集めて事件を解決へと導きます。
このあたりはアドベンチャーゲームのセオリー通り。
独自のシステムとしては、まず集めるべき情報の数がはじめに示されます。
事件に関する有益な情報は「MEMO」にストックされていき、この情報を「セット」して人に話しかけると訊ける話が増えて、さらに新しい情報が引き出せるという仕組みです。
そして所定の数の情報が集まると推理パートへ。
ここでは目の前に立ちはだかる事件に関する疑念の壁(のような何か)に対し、「MEMO」から入手した情報を当てはめて壁を消滅させ、先にある出口にたどり着くと次の章へと進みます。
この推理パートのゆがんだ亜空間らしき場所は和階堂の頭の中なのか、個人的にかなり好き。
1時間ほどで終わるので、あまり構えずサクッとプレイできる敷居の低さも良い部分ですが、ただ短いといっても一件落着には簡単に至らないシナリオや、意表を突く演出もストーリーを盛り上げ、ミステリードラマとしてもほどよい尺に収まっていると思います。
またシリーズものとしてナンバリングを重ねるごとにゲーム自体が練り込まれ、遊びやすくなっていくのが実感できるのも醍醐味のひとつかなと。なので3作全部ダウンロードして遊び倒すが吉です。
無料だし。
『和階堂真の事件簿』のアートワークについて
ゲーム画面をみれば一目瞭然ですが、キャラクターは白と黒のドットのみ。限られたパターンの動きの中にもそれぞれの個性が表現されていてドット絵好きとしてはたまりません。背景も青緑色の単色ながらよく見ると奥行きがあり目を見張るディティールの細かさ。
このキャラクターと背景のコントラストが抜群で、こうしたビジュアルがゲームとしての個性を突出させているのは間違いないでしょう。
あとアドベンチャーゲームの肝でもあるテキストが簡潔で読みやすく、ドット絵という情報が少ないキャラクターのイメージをそのセリフがうまく補完し、プレイヤーの想像力を刺激してストーリーへ引き込むのに大いに役立っていると思いました。
Steam と Switch にも移植が決定
無料ゲームに広告が入るのは世の常でストアページにも「広告が表示されます」とありますが、プレイ中の画面には表示されず、どこに出るんだ?と思っていたら意表を突く所に現れてちょっと笑ってしまいました。これはプレイして確かめてみてほしいところ。
ある意味良心的で面白いとは思ったんですが、1作目のアップデート欄のコメントを読んでしんみりとしてしまいました。
やっぱ広告というのはエゲつないほど前面に出さないと効果ないんですかね。ツラい。
でも、そんな収益化が難しかった本作も2021年にめでたく『和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE』として Steam や Switch への移植が決まったようで、スマホでリリースされた3作の他に完全新作エピソードも追加され、まさにデラックスといった装い。ここで存分にマネタイズしてほしいと願います。
自分としてはスマホの機種変やアプデの影響を受けなくなるのはかなり朗報。
今年の5月には Steam にストアページが公開されました。
同じ制作チームから新作も
そしてこのゲームを制作したチーム墓場文庫から、新たなアドベンチャーゲームのリリースも予定されています。
その名も『都市伝説解体センター』。同じ「都市伝説」をモチーフとして『流行り神』なんかが好きな人間からすると、またも バチコンッ とハマるに決まっています。
今年開催されたインディーゲームの祭典 BitSummit にあわせて公開されたPVには、ドット絵で描かれた見るからにクセの強そうなキャラクター達が動きまくるのが確認できて辛抱たまりません。プレイ画面をみると『和階堂真の事件簿』のシステムと似ているところもありそう。
ドット絵が好きなのはファミコンの「マリオ」で育ったせいもありますが、もはや懐古的な意味ではなくゲームのひとつの表現としてジャンルを確立し、どんどん新作がリリースされるのは本当に嬉しいかぎりです。
お便りを送る