スーツ姿に黒縁メガネ、ギターを背負って手には刀といういで立ち。かっこいいですね。
ケースがバキバキに割れていますが、中古品として購入した時点ですでにこのあり様でした。状態として良くないですが、当時は気軽に視聴する手立てがどこにもなくそれでも買い求めずにはいられなかった、この映画に対する渇望の証だと思っております。
そんなマイフェイバリット映画が YouTube にて無料公開されています。
『シックス・ストリング・サムライ』とは
いったいどんなストーリーなのか? その内容に関してはこのバキバキに割れたDVDケースの裏面のジャケットが、雄弁に物語ってくれています。
エルビスのメロディが鳴り響く
DVD『シックス・ストリング・サムライ』ケース裏面より
マッドマックス的世界で
ジェット・リーばりの技と
子連れ狼ばりの殺陣で
暴れまくるギターを持った渡り鳥がいた!
YouTube で公開されているものには、日本語字幕や吹替えは残念ながらありませんが、このつめ込みすぎな「前口上」を頭に入れて英語字幕の助けを借りれば大体内容も理解できると思います。
DVDに収録されていた監督である ランス・マンギア氏 のインタビューによれば、大学の卒業制作(!)として始まり、資金が底をつきかけたところ制作会社との契約によってなんとか完成にこぎ着けたそうで、一般的な商業映画として観ると多少チープに映るところはあるかもしれませんが、その経緯を知れば無謀すぎるスケールのデカさと、それを実現させた情熱、広げた大風呂敷をしっかり畳んだ根性に敬意を抱かずにいられません。
日本でも 1999年 に劇場公開され、公開時のポスターは カネコアツシ、しりあがり寿、本秀康 など著名なイラストレーターが手掛けています。これまたナイスな人選ですね。
あと、主演の ジェフリー・ファルコン氏 が呼んでないのに勝手に来日して舞台挨拶をしたというのは個人的に大好きなエピソード。
劇伴はブライアン・タイラー
ビジュアルのインパクトにまず目がいきがちですが音楽も非常に印象深く、これを手掛けたのが『エクスペンダブルズ』や『ワイルド・スピード』、そして最近では『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の音楽を担当した ブライアン・タイラー氏 によるもの。映画音楽の仕事をはじめて間もない時期で、いま彼の関わった映画をみれば(リンク先はAmazon)そうそうたるタイトルが並んでいますが、初期の楽曲が聴けるのも貴重かと思います。
ゲームへのちょっとした影響
メジャー映画とは言いがたいかもしれませんが、観ている人は観ているらしく、ゲームにも少し影響を与えています。
PS2からリリースされた『サムライウエスタン 活劇侍道』という”侍がアメリカ西部のガンマン達を向こうに回して刀で戦うアクションゲーム” があるのですが、その主人公が持つ日本刀「虎河豚(とらかとん)」は、この映画の刀をモデルにしているそうです。
本編をみると分かりますが、刀の柄の部分が布でグルグル巻きになっていて確かに似てるんですよ。破天荒のゲームはおのずと破天荒な映画に惹かれてしまうものなのでしょう。
そして待望のBlu-ray化
DVDだけで長らく再販もされず、中古でも若干のプレミアがついていたためケースがバキバキに割れたものを買うハメになった俺なわけですが、2022年にめでたくBlu-ray化されました。
すでに海外では4K化までされていたので、ようやく日本でも発売されたことになります。それにしても海外版のジャケットはイカす!
自分と同じく心に刺さってしまい「YouTubeの荒い画質じゃ満足できない!」という人はこちらも検討してみるのもよいかもしれません。あと、Prime Videoでは440円でレンタル できるみたいですよ。よい時代になりました。
映画の小ネタ
劇中で主人公の前に立ちはだかる黒ずくめ3人組のひとりは監督自身が演じてます。
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